ソウルの世界遺産【宗廟(チョンミョ)】!1度は見たい独特な建築様式

こんにちは~!
海外に行くとその国の歴史を感じられるスポットに行くのを楽しみにされている方も多いのではないでしょうか。
ソウルには朝鮮時代からの歴史を感じられる建物が数多く残っていますがユネスコ世界文化遺産に指定されている世界遺産も2つあるんですよ。
今回はそのうちのひとつ「宗廟」をご紹介します。

宗廟(チョンミョ)とは?

「宗廟(チョンミョ)」とは、朝鮮王朝の歴代王と王妃や功臣の位牌(神位)を祀り、、祭祀を行っていた場所で王室の霊廟です。
1995年には、その優れた建築様式と歴史性の高さから「ユネスコ世界文化遺産」に登録されました。
年に一度、毎年5月の第1日曜日には、朝鮮王朝時代から続く王室の祭礼儀式「宗廟大祭」が行なわれます。
参列者は数百人にのぼり韓国最大の伝統行事といえます
演奏される音楽は「宗廟祭礼楽(チョンミョチェレアッ)」と呼ばれ、器楽(キアッ、楽器による演奏)、楽章(アッチャン、歌のこと)、佾舞(イルム、先代の王を称える舞踊)で構成。秀でた芸術性から韓国の「重要無形文化財 第1号」、「ユネスコ世界無形文化遺産」に指定されています。

独特な建築様式

宗廟は位牌の数が多くなるにしたがって既存の建物の側面に相次いで増築を行ったため、李朝時代の他の建築物とは違い、独特で固有の空間形式をもつようになりました。
同時代の単一木造建築物としては世界最大規模を誇り、東西に伸びる珍しい建築様式が目を引きます。
宗廟建築の特徴は、自然、地勢に順応し、建物の軸を統一せず、それぞれの建物が個別の軸に沿って建てられており、それぞれの建物自体は対称でありながら、建物の全体的は配置は非対称構造になっています。

「蒼葉門(チャンヨンムン)」


宗廟の正門である蒼葉門は、他の宮殿の正門とは異なり、構造形態がとても簡潔で控えめな装飾ながら品があるのが特徴です。
外大門(ウェデムン)とも呼ばれます。
元々は正面中央に階段がありましたが、日本統治時代に行なわれた道路工事で地中に埋まってしまい、現在は長台石(長方形の石材)の基壇のみ残っています。

神路(シンロ)、御路(オロ)、世子路(セジャロ)

「外大門」をくぐると前方に広がる道で、中央・左・右の3部分にそれぞれ薄石が敷かれています。
良く見ると左右に比べ中央の道が少し高くなっているのが分かります。
この3つの道にはそれぞれ意味が込められていて、最も高い中央の道を「神路」、東側を「御路」、西側を「世子路」といいます。
「神路」は「神のための道」という意味で、左右の道よりも少し高くなっているんだとか。
また右(東)側は「王が通る道」から「御路」、左(西)側は「皇太子が通る道」から「世子路」といいます。
「三道」は「正殿」の神門へと通じており、祭祀の際に利用されます。

「望廟楼(マンミョル)」

「宗廟」に到着した王が体を休めるために立ち寄った場所。
望廟楼という名前は「宗廟の正殿を眺めながら先代の王の業績と宗廟社稷(チョンミョサジッ・王朝時代に王室と国をあわせていう言葉)を考える」という意味からつけられたそうです。
望廟楼の特徴は、建物の西側1間が高床の板の間になっていることと、宗廟の建築物のなかで唯一華やかな装飾が施された「八作屋根(軒の四隅が上に持ち上がっている韓国式の屋根)」が特徴の建物です。

正殿(チョンジョン)


国宝第227号。
宗廟の中心の建物で、もともと宗廟とよばれていましたが、永寧殿が建てられてからは太廟(テミョ)と呼ばれたりもしました。
李朝時代の初期には太祖の4代祖の位牌を祀り、それ以降は当時の在位王の4代祖と歴代王のなかでも特に功績のある王と王妃の位牌を祀り、祭祀を行いました。
現在正殿には西側を最も上とし、第1室である西側1番目の間に祀った太祖(1代目)の位牌をはじめ、李氏朝鮮の最後の皇帝である純宗皇帝(スンジョンファンジェ・27代)まで、各王と王妃あわせて計49位の位牌が19室に祀られています。
位牌が新たに安置されるたびに増築が重ねられ韓国の単一木造建築物としては最長の建物です。
位牌が安置された各部屋の扉「板門(パンムン)」は、表面をよく見ると所々隙間がある造りになっています。これは魂が自由に出入りするためであるとともに、内部の湿度を調節するためでもあります。

「功臣堂(コンシンダン)」

正殿の廟庭下月台の南側右下に位置する建物で、朝鮮王朝歴代王に仕え、国家の発展に寄与した功臣、計83位の位牌が安置されています。
創建当時は「正殿」の外にあり、建物自体も3間しかありませんでしたが、現在は16間もある長い建物になりました。
功臣堂には李朝太祖の功臣をはじめとし、27代目純宗皇帝まで正殿に祀った歴代王の功臣の位牌83位を祀っています。

「斎宮(チェグン)」

斎室(チェシル)、御粛室(オスッシル)とも言われ、王と皇太子が祭祀前日に身と心を清めた場所です。
北側の建物(御斎室、オジェシル)には王が、東側の建物(世子斎室、セジャジェシル)には皇太子が滞在しました。
また西側の建物は「御沐浴庁(オモギョッチョン)」といい、ここで入浴し身を清めました。

「七祀堂(チルサダン)」

王室の祭礼過程に関与する季節の七神(七祀、チルサという)の祭祀が執り行なわれる場所。
王室に安泰をもたらしてくれるとされた七祀の祭祀は、季節ごとに国家祭礼として行なわれました。
宗廟創建時から正殿の廟庭、下月台南側の左下に位置しています。功臣堂と同じく4面ある壁のうち3面がレンガになっています。

永寧殿(ヨンニョンジョン)

宝物(国宝と重文の中間)第821号。
永寧殿は、1421年、第2代王・定宗(チョンジョン)の位牌を祀る際に建てられた別廟です。
1421年(世宗3年、世宗[セジョン]は李朝第4代王、1397~1450、在位1418~1450)、定宗(チョンジョン、李朝第2代王、1357~1419、在位1399~1400)の位牌を宗廟に奉納するときに正殿の空間が不足していたため、別途建立されました。永寧殿の「永寧」とは祖宗(チョジョン・国王の先祖)と子孫の道が共に平安であるように」という意味が込めれれています。
永寧殿の建物と廟庭の規模は正殿よりも小さく、2つの建物の階級の違いを表わしています。
永寧殿には中央4室に祀られた太祖の4代祖(穆祖、翼祖、度祖、桓祖)とその王妃の位牌など没後に位を贈られたり、「正殿」から移安されたりした王と王妃の位牌、計34位が安置されています。
中央の太祖の4代祖を祀った4間を、その左右の夾室(横に付属した小部屋)6間よりも高くし、階級を区別しています。

宗廟
住所 ソウル特別市 鍾路区 薫井洞 1
(서울특별시 종로구 훈정동 1)
料金 大人 (満19~64歳) 1,000ウォン
子ども (満7~18歳) 500ウォン
電話番号 02-765-0195
営業時間 (2~5月、9~10月)9:00~18:00(最終受付17:00)、(6~8月)9:00~18:30(最終受付17:30)、(11~1月)9:00~17:30(最終受付16:30)

まとめ

ソウルの古宮というとカラフルな装飾のされた日本の建築物とは少し違った雰囲気の物が特徴ですが、宗廟は王室の霊廟ということから、落ち着きがありながら品のある建築物が楽しめます。
ぜひ、一度ソウルにある世界遺産にも登録されている宗廟へ足を運んでみてくださいね。

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